下水道の経営状況

2025年11月26日更新

下水道事業の現状と課題

下水道事業の目的

下水道事業は、沼津市の誇る河川や海の良好な水質を保全するためにも、生活排水や事業活動等により生ずる排水の適正な処理を行う必要があり、下水道計画区域内において、下水道施設の整備等を推進しています。

下水道マスコットキャラクター「スイスイ」

下水道整備の状況

現状

1 下水道普及率

グラフ1を見ると、本市の下水道は、普及段階にあり、令和6年度末における下水道普及率は、63.2%で、全国平均の81.8%や静岡県平均の66.4%に比べ下回っています。
要因としては、本市の地形的な特性等により、処理場が多く、また、地下水位が高いといった地質的な特性などにより、他自治体と比べ、時間と費用を要しているためです。
快適な住環境の実現や水質保全のためにも、普及促進は重要であることから、今後も下水道の整備を着実に行っていく必要があります。

【グラフ1 全国平均・静岡県平均・沼津市の普及率の比較表】

全国平均・静岡県平均・沼津市の普及率の比較のグラフ 令和元年末(全国平均:79.7%、県平均:63.9%、沼津市:60.7%) 令和2年末(全国平均:80.1%、県平均:64.3%、沼津市:61.4%) 令和3年末(全国平均:80.6%、県平均:65.3%、沼津市:62.0%) 令和4年末(全国平均:81.0%、県平均:65.5%、沼津市:62.4%) 令和5年末(全国平均:81.5%、県平均:66.3%、沼津市:62.9%) 令和6年末(全国平均:81.8%、県平均:66.4%、沼津市:63.2%)
2 水洗化人口及び水洗化件数

下水道を整備した区域内における、下水道へ接続した人口や世帯数の増加に努めています。(グラフ2参照)

<水洗化人口>
令和6年度末の水洗化人口は、102,885人で、令和2年度まで水洗化人口は年々増加していましたが、令和3年度以降は、水洗化人口が減少しています。
要因としては、新規接続に対し、人口減少が上回っているためです。
さらに、グラフ3を見ると、本市の人口は、令和2年から令和12年までの10年間で約1万2千人減少し、その後も減少傾向は続く見込みとなることから、水洗化人口も減少することが想定されます。

<水洗化件数>
令和6年度末における水洗化件数は、53,283件で、増加傾向となっています。
水洗化人口が減少する一方、水洗化件数が増加している要因としては、新規に下水道に接続する世帯があることや、核家族及び単身世帯が増加していることなどが考えられます。
今後も、下水道に接続されていない皆様へのご理解とご協力を得ながら、下水道未接続世帯の解消に努めていきます。

【グラフ2 水洗化人口及び水洗化件数】

水洗化人口及び水洗化件数のグラフ 平成26年(水洗化人口:100,438人、水洗化件数:45,585件) 令和6年(水洗化人口:102,885人、水洗化件数:53,283件)

【グラフ3 沼津市の人口推移】

「沼津市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」人口の将来展望より

沼津市の人口推移のグラフ 平成27年度:195,633人、令和2年度:190,819人、令和7年度:185,170人、令和12年度:178,958人、令和17年度:172,557人、令和22年度:165,900人、令和27年度:159,895人
3 有収水量、下水道使用料

グラフ4を見ると、令和6年度末の有収水量(下水道使用料徴収の対象となった水量)は、約1,329万立方メートルで、人口減少や節水意識の浸透などにより、減少傾向となっています。
一方で、令和6年度末の下水道使用料は、約19億9,870万円で、令和元年度以降横ばいもしくは減少傾向でしたが、令和6年7月に使用料を改定したことなどにより、増加に転じました。

【グラフ4 有収水量及び下水道使用料収入】

有収水量及び下水道使用料収入のグラフ 令和6年(有収水量:13,295,583立方メートル、下水道使用料収入:1,998,703千円)

(※下水道使用料は、令和元年度及び令和6年度に改定を行っています。)

4 汚水処理費、下水道使用料、経費回収率の推移

下水道事業は、独立採算制の原則により、本来、経費回収率が100%以上であるべきです。令和6年度は、使用料を改定したことにより、74.1%と約7.3ポイント上昇しましたが、100%を下回っており、一般会計から補助金(支援)を受けています。
要因としては、下水道が普及段階にあることや、有収水量が減少傾向にあることに加え、近年の物価高騰等により、汚水処理にかかる費用が増加傾向にあることなどが考えられます。

【グラフ5 汚水処理費、下水道使用料、経費回収率】

汚水処理費、下水道使用料、経費回収率のグラフ 令和元年(汚水処理費:2,554,558千円、下水道使用料:1,789,406千円、経費回収率:70.0%) 令和2年(汚水処理費:2,718,147千円、下水道使用料:1,800,469千円、経費回収率:66.2%) 令和3年(汚水処理費:2,673,500千円、下水道使用料:1,795,304千円、経費回収率:67.2%) 令和4年(汚水処理費:2,687,975千円、下水道使用料:1,773,142千円、経費回収率:66.0%) 令和5年(汚水処理費:2,658,705千円、下水道使用料:1,776,860千円、経費回収率:66.8%) 令和6年(汚水処理費:2,699,011千円、下水道使用料:1,998,703千円、経費回収率:74.1%)
5 光熱水費の推移

電気料金の急激な価格高騰により、令和4年度の支出額は、過去10年間で最大となりました。令和6年度は、前年度より増加しており、これまでより若干高めの水準となりました。

【グラフ6 光熱水費の推移】

光熱水費の推移のグラフ 平成26年:186,793千円 平成27年:165,123千円 平成28年:137,816千円 平成29年:147,121千円 平成30年:164,906千円 令和元年:164,077千円 令和2年:150,781千円 令和3年:160,107千円 令和4年:223,933千円 令和5年:177,184千円 令和6年:182,737千円

課題

下水道事業は、独立採算制で運営しており、経営に要する費用は、下水道使用者の皆様からの下水道使用料で賄う必要があります。
このため、令和6年度に下水道使用料を改定したところですが、本市の下水道は普及段階にあり、汚水処理費をどの程度下水道使用料で賄えているかを示す経費回収率は、74.1%と100%を下回っており、一般会計から補助金(支援)を受けています。
将来に向けて、人口減少等が続くとともに、近年は物価高騰等により費用も増加傾向にある中、今後も安全・安心で快適な住環境の実現や水質保全のためには、引き続き、水洗化率の向上や経費削減等を図るとともに、経営改善に向けた取り組みも研究していく必要があります。

処理場設備及び管路施設の老朽化、耐震化など

現状

1 処理場設備の経年化状況及び管路施設の老朽化状況

本市の下水道事業は、公共用水域の水質汚染問題を解決するため、昭和42年に着手して以来、下水道の普及を促進し、整備区域を広げる整備をしてきました。

グラフ7を見ると、処理場設備の経年化設備率は、令和6年度末時点で42.59%です。
下水道管については、整備から法定耐用年数の50年が経過し、耐用年数を超えた管が少しずつ増えてしているところであり、今後、計画的な更新が必要で、更新していく費用が増加していきます。

更新工事の様子、下水道マスコットキャラクター「スイスイ」

計画的に更新工事を行っていきます

【グラフ7 経年化設備率及び管路の老朽化率】

経年化設備率及び管路の老朽化率のグラフ 令和元年(経年化設備率:39.39%、管路の老朽化率:0.45%) 令和2年(経年化設備率:40.63%、管路の老朽化率:1.47%) 令和3年(経年化設備率:40.68%、管路の老朽化率:2.12%) 令和4年(経年化設備率:40.68%、管路の老朽化率:3.03%) 令和5年(経年化設備率:41.58%、管路の老朽化率:4.17% 令和6年(経年化設備率:42.59%、管路の老朽化率:4.77%)
2 処理場設備及び管路施設の耐震化状況

グラフ8を見ると、処理場設備は、令和6年度末時点で66.7%が耐震化されています。
また、管路施設やマンホール等の耐震化を進めており、令和6年度末時点の耐震化率は、市全体では60.8%、重要な幹線等では84.7%です。

【グラフ8 処理場施設と管路施設の耐震化率】

処理場施設と管路施設の耐震化率のグラフ 令和元年(管路(市全体)の耐震化率:81.0%、処理場施設の耐震化率:66.7%、管路(重要な幹線等)の耐震化率:58.5%) 令和2年(管路(市全体)の耐震化率:81.2%、処理場施設の耐震化率:66.7%、管路(重要な幹線等)の耐震化率:58.9%) 令和3年(管路(市全体)の耐震化率:82.5%、処理場施設の耐震化率:66.7%、管路(重要な幹線等)の耐震化率:59.5%) 令和4年(管路(市全体)の耐震化率:84.4%、処理場施設の耐震化率:66.7%、管路(重要な幹線等)の耐震化率:60.1%) 令和5年(管路(市全体)の耐震化率:84.7%、処理場施設の耐震化率:66.7%、管路(重要な幹線等)の耐震化率:60.5%) 令和6年(管路(市全体)の耐震化率:84.7%、処理場施設の耐震化率:66.7%、管路(重要な幹線等)の耐震化率:60.8%)
3 今後の処理場設備及び管路施設の整備

現在、本市の下水道は普及段階にあるため、今後も引き続き普及促進を図ります。
また、日常的な施設の運転や維持管理はもとより、突発的で重大な事故を未然に防ぐためにも、処理場設備及び管路施設の長寿命化・耐震化を計画的に進めていく必要があります。

下水道の耐震化工事の様子、下水道マスコットキャラクター「スイスイ」

下水道の耐震化工事を進めています

【グラフ9 今後の主な建設改良工事等の見込額】

今後の主な建設改良工事等の見込額のグラフ 令和7年合計金額:2,538,056千円 令和8年合計金額:2,661,056千円 令和9年合計金額:2,758,056千円、令和10年合計金額:2,771,056千円 令和11年合計金額:2,719,523千円
4 企業債の推移

処理場設備及び管路施設の整備や耐震化などにかかる費用を将来世代にも公平に負担していただくため、企業債を適正に活用しながら整備を進めています。
地質的特性等から地盤改良等に不測の費用を要することや物価高騰等により、建設改良工事等の支出額が大きくなっていますが、グラフ10を見ると、既往債の償還額に対し、借入額の方が少ないため、令和6年度末の企業債残高は約345億1,220万円と年々減少しています。

【グラフ10 企業債の借入額、返済額及び残高】

企業債の借入額、返済額及び残高のグラフ令和元年残高:38,216,381千円 令和2年残高:37,247,469千円 令和3年残高:36,331,704千円 令和4年残高:35,942,937千円 令和5年残高:35,389,593千円 令和6年残高:34,512,201千円
5 内部留保資金の推移

「内部留保資金」(「補てん財源」とも呼ばれます)とは、減価償却費など実際に現金の支出を伴わない費用などの「損益勘定留保資金」や、当年度純利益から積立てられた積立金などの利益剰余金で企業内部に留保されている資金のことです。
公営企業会計において、資本的収支不足額に内部留保資金を充当することとなっています。
内部留保資金が不足してしまうと、処理場設備及び管路施設の整備や改築及び更新ができなくなります。
グラフ11を見ると、令和2年度から令和4年度までは減少傾向でしたが、令和5年度以降は増加傾向に転じました。
令和6年度末の内部留保資金は、約5億6,038万円で、当年度純利益が増加したことなどにより、令和5年度と比べ約1億1,367万円増加しました。

【グラフ11 内部留保資金】

内部留保資金のグラフ 令和元年:588,249千円 令和2年:403,876千円、積立取崩額 135,005千円 令和3年:304,949千円、積立取崩額 253,580千円 令和4年:224,472千円、積立取崩額 17,866千円 令和5年:446,715千円、積立取崩額 22,651千円 令和6年:560,383千円、積立取崩額 280,735千円

課題

引き続き、下水道の普及促進を図りながら、処理場設備及び管路施設を更新するためには、今後5年間で必要となる建設改良工事等が各年度に約25億円から28億円(グラフ9参照)と、多額の費用が必要となります。
一方、その財源として、企業債(グラフ10参照)を適正に活用していきますが、内部留保資金(グラフ11参照)が、いまだ脆弱であるため、着実な下水道の普及促進と水洗化率の向上等による収益の確保が必要となります。

令和6年度決算

1 決算の概要(特徴的な事項を記載しています。)

収益的収支(税抜)

収益的収支とは、下水道事業における通常の経営活動にかかる収益と費用です。

収益的収支 【収益】51億6,955万円(下水道使用料:19億9,870万円(38.7%)、他会計補助金:22億2,513万円(43.0%)、その他:9億4,572万円(18.3%))
収益的収支 【費用】48億108万円(人件費:1億8,758万円(3.8%)、借入金の利子返済:4億7,189万円(9.8%)、施設の減価償却:25億4,469万円(53.1%)、動力費:1億6,391万4千円(3.4%)、その他:14億3,301万円(29.9%)、純利益:3億6,847万円)
  • 費用のうち、「その他」は、下水道設備や管路施設を維持管理する経費、汚水をきれいにするための薬品購入費、下水道本管の緊急工事費、材料費などの経常的に支出する経費です。

<収益的収支の概要>

  • 下水道使用料は、使用料改定により、対前年度比約2億2,000万円(+12.5%)増加しました。
  • 水洗化指導等により、水洗化件数は増加し、水洗化率も0.3ポイント増となりました。
  • 純利益は、約3億6,800万円を計上し、対前年度比約5,900万円(+19.0%)増加となりました。

資本的収支(税込)

資本的収支とは、老朽化が進む処理場設備及び管路施設などの改築、更新及び企業債の借入や、償還にかかる収入と支出です。

資本的収支 【収入】24億2,895万円(企業債:17億7,160万円 72.9%、補助金:5億5,210万円 22.8%、負担金及び分担金:1億525万円 4.3%、資金不足額:20億4,418万円)
資本的収支 【支出】44億7,312万円(工事費:13億9,103万円 31.1%、借入金の返済:26億4,899万円 59.2%、その他:4億3,310万円 9.7%)
  • 資金不足額は、内部留保資金で補てんをしました。
    「内部留保資金」(「補てん財源」とも呼ばれます)とは、減価償却費など実際に現金の支出を伴わない費用などの「損益勘定留保資金」や、当年度純利益から積立てられた積立金などの利益剰余金で企業内部に留保されている資金のことです。
    公営企業会計において、資本的収支不足額に内部留保資金を充当することとなっています。
    内部留保資金が不足してしまうと、下水道施設の更新、耐震化ができなくなります。

<資本的収支の概要>

  • 本市の汚水処理人口普及率の目標が95%(令和16年度末まで)の中、下水道の人口普及率については0.67ポイント増を目指しましたが、地質的特性等から地盤改良等に不測の費用を要したことや、国庫補助金の内示率が低かったこと、翌年度へ工事を繰越したことなどにより、63.2%(+0.3ポイント増)に留まりました。
  • 企業債は、償還額に対して、借入額の方が少ないため、引き続き、残高は減少傾向となり、前年対比で約8億7,739万円減となりました。

2 決算の内容

令和5年度決算

経営分析(経営比較分析表)について

本市の水道事業における経営指標を設定し、経年比較や類似団体との比較することで、本市水道事業の経営分析を行いました。

  • 令和6年度の情報は、現在、作成中です。

(参考)

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