水道の経営状況

2025年11月26日更新

水道事業の現状と課題

水道事業の目的

水道事業は、沼津市及び清水町を給水区域とし、良質な水源を確保しつつ、安全・安心でおいしい水道水を皆様のもとへ安定的・継続的にお届けするため、水の管理及び水道施設等の整備などを推進しています。

給水の状況

現状

1 普及率と給水区域

令和6年度末の水道計画給水区域内における普及率は、99.7%で、沼津市及び清水町のほぼ全域に普及しており、新たな収入源となる大きな給水区域の拡大は見込めない状況にあります。

2 給水人口、給水戸数

令和6年度末時点の給水人口は、214,649人、給水戸数は、106,893戸です。

<給水人口>
グラフ1を見ると、年々減少傾向となっています。要因としては、人口減少によるものと考えられます。
さらに、グラフ2を見ると、全国的に人口減少傾向にあり、沼津市及び清水町においても、令和2年から令和12年までの10年間で約1万2千人減少し、その後も減少傾向は続く見込みとなることから、給水人口も減少する見込みです。

<給水戸数>
グラフ1を見ると、給水人口は、減少傾向に対し、給水戸数は、増加傾向となっています。要因としては、核家族化及び単身世帯の増加によるものと考えられます。

【グラフ1 給水人口と給水件数】

給水人口と給水件数のグラフ 平成26年 給水人口:232,637人、給水戸数102,534件 令和6年 給水人口:214,649人、給水戸数:106,893件

【グラフ2 沼津市及び清水町の人口推移】

「沼津市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」人口の将来展望、
「第2期清水町まち・ひと・しごと創生人口ビジョン・総合戦略(令和2年度改訂版)」より

グラフ「沼津市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」人口の将来展望より 沼津市・清水町合計 平成27年:227,751人 令和2年:221,972人 令和7年:216,570人 令和12年:210,189人 令和17年:203,689人 令和22年:196,893人 令和27年:190,744人
3 有収水量、給水収益

グラフ3を見ると、令和6年度末の有収水量(水道料金を徴収する対象となった水量)は、約2,645万立方メートルで、減少傾向となっています。要因としては、人口減少や節水意識の浸透などが考えられます。
一方、令和6年度末の給水収益(有収水量に基づく水道料金)は、約26億3,396万円で、前年度までは減少傾向でしたが、令和6年度に料金を改定したことにより増加に転じました。

【グラフ3 有収水量と給水収益】

有収水量と給水収益のグラフ 令和6年 有収水量:26,453,135立方メートル、給水収益(税抜)2,633,969千円

※水道料金は、令和6年度に改定を行っています。

4 光熱水費(動力費含む)の推移

電気料金の急激な価格高騰により、令和4年度の支出は過去10年で最大となりました。令和6年度は、前年度より増加しており、これまでより若干高めの水準となりました。

【グラフ4 光熱水費の推移】

光熱水費の推移のグラフ 平成26年:271,585千円 平成27年:237,928千円 平成28年:204,915千円 平成29年:220,267千円 平成30年:242,360千円 令和元年:233,765千円 令和2年:213,311千円 令和3年:225,343千円 令和4年:299,238千円 令和5年:240,340千円 令和6年:253,403千円

課題

公営企業である水道事業会計は、独立採算制で運営しており、経営に要する費用は水道をご利用の皆様からの水道料金(収入の約9割)で賄っています。
令和6年度については、平成22年度以来、約14年ぶりに水道料金を改定したことにより、収益が増加しました。
しかし、今後も人口減少等が続くとともに、近年は物価高騰などにより費用も増加傾向にあります。
そうした情勢においても、将来に向けて安全・安心で安定的・持続的においしい水道水を供給するためには、引き続き、事業の効率化や経費削減等を図っていく必要があります。

水道施設の老朽化及び耐震化対策

現状

1 水道施設等の老朽化及び耐震化対策

本市の水道事業の施設整備は、昭和20年代からはじまり、昭和40年代以降の高度経済成長期に多くの整備を行っています。

水道施設(水道本管、配水池、水道設備など)の一部は、既に法定耐用年数を経過している状況にあります。特に、水道管の経年化率(法定耐用年数を経過した管路延長を示す割合)は、令和6年度末において35.27%となりました。
現在は、管路の全体延長に対する管路更新率を年に1ポイントとする目標を掲げ、耐震化と合わせ更新事業を推進しています。
(※令和5年度における管路更新率の全国平均は、0.62ポイントです。)

今後も、事業の平準化を意識しながら、これまでと同様に継続的な更新を進めていく必要があります。

【グラフ5 管路経年化率】

管路経年化率のグラフと水道管老朽化の写真 令和元年:29.66% 令和2年:30.75% 令和3年:31.65% 令和4年:32.84% 令和5年:33.46% 令和6年:35.27%

また、水運用の要となる水道設備は、日々の点検や維持管理と併せ、設備機器の更新を進めてきました。
現在の設備経年率の目標は、令和12年度までに約5%とする目標を掲げ、経年設備の点検結果や維持管理の状況を踏まえ、設備更新を実施しています。

2 今後の水道施設の整備

水道施設(水道本管、配水池、水道設備など)の更新や耐震化は、これまでも「沼津市水道事業ビジョン」に基づき、計画的に進めてきました。

今後も、水道をご利用の皆様へ、安全・安心な水道水を安定的・持続的に供給するため、日常的な施設の運転や維持管理と合わせ、老朽化が進む水道施設についても、更新、耐震化に向けた計画的な整備を継続していきます。

  • 水道施設の写真

    水道施設

  • 水道設備の写真

    水道設備

【グラフ6 今後の主な建設改良工事等の見込額】

今後の主な建設改良工事等の見込額のグラフ 合計金額 令和7年:2,384,670千円 令和8年:2,372,086千円 令和9年:2,372,314千円 令和10年:2,358,714千円
3 企業債の推移

老朽化した水道施設の更新や耐震化などにかかる費用を将来世代にも負担していただくため、企業債を活用しながら整備を進めています。
近年の物価高騰等により、建設改良工事等の支出額が大きくなっており、既往債の償還額に対し、借入額の方が多くなっているため、令和6年度末の企業債残高は約139億5,400万円と年々増加しています。

【グラフ7 企業債の借入額、償還額及び残高】

企業債の借入額、償還額及び残高のグラフ 令和元年残高:11,913,860千円 令和2年残高:12,269,465千円 令和3年残高:12,836,860千円 令和4年残高:13,330,443千円 令和5年残高:13,632,963千円 令和5年残高:13,954,002千円

課題

安心・安全で安定的・持続的においしい水道水を供給するためには、水道施設(水道本管、水道設備など)の更新、耐震化を進めていく必要があります。
今後、4年間の各年度で必要となる建設改良工事等の費用が約24億円(グラフ6参照)と、多額の費用が必要となります。
また、その財源として企業債(グラフ7参照)の借入れが必要となりますが、将来世代への大きな負担とならないよう、収支バランスを見ながら借入額を抑制していく必要があります。

令和6年度決算

1 決算の概要(特徴的な事項を記載しています。)

収益的収支(税抜)

収益的収支とは、水道事業における通常の経営活動にかかる収益と費用です。

収益的収支 【収益】29億6,114万円(給水収益:26億3,397万円(89.0%)、加入金:6,523万円(2.2%)、その他:2億6,194万円(8.8%)
収益的収支 【費用】26億5,900万円(人件費:3億6,280万円(13.6%)、借入金の利子返済:1億6,721万円(6.3%)、施設の減価償却:13億1,555万円(49.5%)、水を送る電気料:2億2,458万円(8.5%)、その他:5億8,886万円(22.2%)、純利益:3億214万円)
  • 費用のうち、「その他」は、水道施設(水道本管、配水池、水道設備など)を維持管理する経費、水道水を消毒するための薬品購入費、水道本管の漏水時の緊急工事費、材料費など、安心・安全な水を提供するための経常的に支出する経費です。

<収益的収支の概要>

  • 給水収益は、料金改定により、対前年度比約3億4,000万円(+14.8%)増加しました。
  • 一方、電気料金、人件費、減価償却費などの増加により、費用も対前年度比約1億円(+3.9%)増加しました。
  • 純利益は、約3億円となり、対前年度比で約2億3,800万円(+373.5%)増加となりました。

資本的収支(税込)

資本的収支とは、老朽化が進む水道施設の整備のほか、企業債の借入や、償還にかかる収入と支出です。

資本的収支 【収入】10億6,815万円(企業債等:10億6,815万円 100.0%、資金不足額:17億917万円)
資本的収支 【支出】27億7,732万円(工事費:19億9,158万円 71.7%、借入金の返済:6億7,896万円 24.5%、その他:1億678万円 3.8%)
  • 資金不足額は、内部留保資金で補てんしました。
    「内部留保資金」(「補てん財源」とも呼ばれます)とは、減価償却費など実際に現金の支出を伴わない費用などの「損益勘定留保資金」や、当年度純利益から積立てられた積立金などの利益剰余金で企業内部に留保されている資金のことです。
    公営企業会計において、資本的収支不足額に内部留保資金を充当することとなっています。

<資本的収支の概要>

  • 建設改良工事は、事業を精査しつつ計画的に整備を進め、水道事業ビジョンに示す目標は、概ね達成できました。
  • 企業債は、施設整備の状況等を踏まえ、借入額を抑制しましたが、償還額に対し、借入額の方が多いため、引き続き、企業債残高は増加傾向となり、対前年度比で約3億2,100万円の増加となりました。
  • 内部留保資金は減少し、約22億3,056万円となりました。
施設の耐震化作業の様子

施設の耐震化(原配水池)

送配水管等の更新の様子

送配水管等の更新

2 決算の内容

令和5年度決算

経営分析

本市の水道事業における経営指標を設定し、経年比較や類似団体との比較を行うことで、本市水道事業の経営分析を行いました。

  • 令和6年度の情報は、現在、作成中です。

(参考)

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