令和5年度　第40回山口源新人賞

受賞のコメント

この度は名誉ある賞を頂戴し誠に光栄に存じます。ありがとうございます。
過去に制作した作品の中で最も思い入れのある大学院の修了制作である今作品が評価して頂けたことを大変嬉しく思います。
この春から社会人になり、慣れない新たな生活環境の中で隙間時間を見つけ、作品制作を行うことの難しさ、自分の作品への感覚が薄れないように意識を向け続けることの厳しさを日々強く感じています。
学生の時に比べ作品と向き合える時間が減ってしまった今の環境でも自分の中の意識と対峙し続けたいと思っています。

作品紹介

私は日々の中で何気なく撮影している自分の日常風景写真をもとに版画作品を制作しています。
物のコンポジションや影の形、明暗のコントラストなどが気に入った写真を選び、タブレットを使ってドローイングを描き、版画作品に展開しています。
写真からドローイングに展開する時、モチーフの輪郭や影の形を簡略化し、色面をパズルのように組み合わせて表現します。
パズルのように組み合わせた色面の色をひとつひとつ考え直し、全てに異なる色を配色しています。そのため私の作品は版数と色数がそれぞれ60〜100ほど使われます。
今作品は大学院を修了する際に制作した修了作品で、友人が私の家に遊びに来てくれた時の様子を描いています。
作品のタイトルは写真を撮影した時の日付と時間で、私の日常風景作品のシリーズのタイトルは全てもとにした写真を撮影した日時をタイトルにしています。
この作品は私が制作してきた作品の中でも最も版数と色数が多く、231版196色の版と色を使用した1番手間をかけた作品です。

三宅　葵（ミヤケ　アオイ）さん　大阪府大阪市在住